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おばけになっちゃえ/木総受@十色神矢

 木吉先輩は、一言で言えばたしかに変人だった。
 大雑把でどこかずれた感性を持っているらしく、いい人だけど曲者のように感じる。二年生第一位の学力があるのにバカだと日向先輩に言われつづけているし、口を開けば僕たちとは違うことを平気で言う。おかしいだろうと分かるのに、あまりに堂々としているので僕らがおかしいのかと思えてしまうときがある。それは素でやっているらしく、突っ込んでいいのかもよく分からない。面白いのか面白くないのかさえわからない。
 それでいて物事を見る目があるらしく、状況判断がすごく上手い。絡まった感情も簡単に言い当ててしまう。飄々としてどんな辺境の地にいる相手でも分け隔てなく接してくる。しかもそれは偽善ではないのだから驚きだ。性格のおかげかいい意味で決して敵を作らない。
 そんなことだから、木吉先輩に好意をよせる人は多い。今だって日向先輩と伊月先輩が目を見合わせているし、水戸部先輩がシュート練習をしながらちらちらと盗み見ている。小金井先輩と土田先輩は福田君と河原君を向いているが、やはりたまに別の場所を探っていた。
 その中心にいるのは木吉先輩で、それは、僕にとってとても面白くない。
「先輩」
「おっ」
 休憩中、座り込んだ木吉先輩のとなりから声をかける。いると思わなかったのか先輩は一瞬目を大きく見開いた。それでも思いっきりびっくりされるわけではないから助かる。大声を出されるのは僕も嫌いだ。
 そのまま大きなアクションもなく、のほほんとした感じで木吉先輩は笑う。なんだか可愛いと思いながらも、隣にいることを見咎められていきり立たれると困るから、先輩を盾に隠れるようにする。二年生はお互いに牽制し合っているからそう気にしないが、この頃火神君や降旗君も視線が向かっているから油断はできない。
「黒子は音がないな、ちゃんと足あるか?」
「僕は幽霊じゃありませんよ」
「けどお化けみたいだな」
「お化けはケーキを食べたりしません」
 他の人から言われたらむっとしただろうが、木吉先輩だとそうならない。つくづく不思議だと思う。
 見つめていたら先輩の頭越しに誰かと目が合いそうになって、慌てて隠れる。本当に油断できないと心の中でため息をついて本題に移った。
「先輩、アカンサスタイムのランチの割引券があるんですが、一緒に行きませんか?」
「マジ? デザート付く?」
 食いついた木吉先輩が、僕にだけに聞こえるように真剣な顔で訊いてくる。頷くと嬉しそうに笑った。
 木吉先輩は大柄だけどケーキとか小さくて甘いものが好きだ。僕も好きだから、一度一緒に行きたいと思っていた。そのために母親のものを譲ってもらったのだ。
「俺はいつでも暇だけど」
「じゃあ明後日にでも。二枚しかないので、キャプテン達には秘密でお願いします」
「よしきた」
 会話が終了すると同時に、監督が集合を掛ける。木吉先輩はさっと立ち上がって向かってしまう。少し残念に思いながら僕も立ち上がると、いきなり誰かの視線が背中に突き刺さる。振り返れば、皆が青や赤や白い表情になっていた。
 どうやら誰にも気付かれていなかったらしい。ミスディレクションのおかげもあるだろうが、皆木吉先輩ばかり見ていて盲目になっているんだろう。
 だから、少々挑発的に笑って見せた。何人かが一気に赤く染まったが気にしない。
 お化けに先を越されているようなら、皆まだまだだ。木吉先輩を一番に落とせるのは、僕かもしれない。





お題はげっちゃんから!
しかし時間かかりすぎワロタ
あと、木吉が学年一位とか希望です。

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